大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(れ)13 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

弁護人鈴木信雄、同平井広吉の上告趣意は、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張

を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

しかし、職権をもつて調査すると、本件についての上訴権回復の申立事件に対す

る東京高等裁判所の決定並びに同事件および本件の一件記録によれば、被告人は、

昭和二三年七月二〇日静岡地方裁判所において保釈決定を受けた際その住居を静岡

市abに制限されたが、被告人並びにその代人の責に帰すべからざる事由によつて被

告人はその制限住居を知らず且つ被告人は該制限住居に居住したこともなかつたこ

とを認めることができる。然るに、本件記録によれば、原審は、右の制限住居に宛

てて本件公判期日の召喚状を発送し、その不送達となるや公判期日の召喚状及びそ

の後の書類の送達はすべて公示送達によつてなし、そのため同第四回公判において

被告人不出頭のまま旧刑訴四〇四条、刑訴法施行法二条の規定により被告人の陳述

を聴かず審理した上判決をしたものであることを認めることができる。されば、原

判決の審判には事実の確定に影響を及ぼすべき法令の違反があつて、刑訴施行法三

条の二、刑訴四一一条一号により原判決を破棄しなければ著しく正義に反するもの

といわなければならない。

よつて、刑訴施行法二条、旧刑訴四四八条の二第一項により、主文のとおり判決

する。

この判決は、裁判官岩松三郎が退職につき合議に関与しないほか裁判官全員一致

の意見によるものである。

検察官 田中万一公判出席

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昭和三三年三月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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